鬼才ヤープ・ヴァン・ズヴェーデン スペシャル・インタビュー

「春の祭典」「アポロン」レコード・アカデミー賞管弦楽部門賞受賞に寄せて
スペシャル・インタビュー!!

今年3月、体調不良のために急遽来日できなくなってしまいましたが、先月発売のストラヴィンスキー最新リリースに寄せて、2月上旬に電話インタビューに答えてくれました。その全容をお届けいたします。

なお、EXTONラジオでは、鬼才ヤープ・ヴァン・ズヴェーデンの貴重な肉声をお聞き頂けます。


まず、「春の祭典」「アポロン」のCDがレコード・アカデミー賞管弦楽部門賞に輝きました。ご感想は?

えええ、管弦楽曲のベスト・レコーディングですか!すごいですね!
賞を頂くということはいつでも素晴らしいことですが、とりわけ日本においてこのような賞を頂け、とてもうれしく思っています。なぜなら、日本には世界中から一流のオーケストラが毎年来日し、日本でももちろん素晴らしいオーケストラがあり、なおかつ、毎年大変な量のCDもこの国でリリースになっています。そのような耳の肥えた日本の聴衆の皆様に評価を頂けたことをとても誇りに思います。
EXTONとは継続的に録音を続けていますが、そのような関係を長く続ける上でもありがたいことですね。いつも同じスタッフ、同じ録音クルーで仕事をしているわけで、そのような協力関係が継続する中、このような時期に賞を頂けたのはとても良いことだと思います。

その続編となる、「ペトルーシュカ」「プルチネルラ」「管楽器のためのシンフォニー」のCDですが、マエストロからの聴き所を聞かせて下さい。

ストラヴィンスキーというのは、オーケストラにとって非常に難しい作曲家です。非常に集中して演奏しなければならないし、技術的にも非常に難しい。それと同時に演奏の中で自由であることも要求されます。我々はそれを実現するために非常に鍛錬を重ね、完璧を求めなければなりません。そして同時に自由であるのです。
ペトルーシュカについて言えば、今回我々は1911年の初版楽譜を使用しています。つまりオリジナル版です。一般的に言えば、ほとんどの場合オリジナル版ではなく、第2校が演奏されるわけですが、第2校の方がオーケストラにとっては比較的易しいといえましょう。ですからオリジナル版を用いた演奏に対して、皆様がどのようにお感じになるか非常に興味があります。「春の祭典」と同じように、たくさんの方に聴いて頂けると良いのですが!

ペトルーシュカもプルチネルラもバレエの作品ですが、こうした舞台作品を演奏することにどのようなこだわりがありますか?

ペトルーシュカはすでにバレエで演奏しました。素晴らしい経験でした。オペラについては先月ちょうどワーグナーの「ニュルンベルクのマイスタージンガー」を演奏したところです。大変素晴らしかったですよ。オペラについては毎年何らかの演目はやりたいと思っています。というのも、オーケストラにとってもオペラやバレエを経験することは大変重要なことなのです。オペラもバレエも歌手やバレエ・ダンサーたちとうまくやっていかなければなりません。そのためにオーケストラはフレキシブルであることを学ぶのです。将来的にもオーケストラ、そしてオランダ放送フィルにとってもオペラをこなすことは大事です。また、プルチネルラについてあれはオランダ放送フィルではなくオランダ放送室内フィルですね。今回最新の録音において2つのオーケストラを皆さんにご紹介できてうれしいです。

日本の聴衆や日本についてどのような印象をもたれていますか?

日本の聴衆のみなさんは非常にお行儀が良くて、しかも音楽に大きな関心を寄せていますね。素晴らしいことです。特に東京では毎週コンサートがたくさん開催され、しかも世界中のありとあらゆる有名なオーケストラが来日するわけですから。素晴らしいです。

最後にラジオをお聴きのみなさまに一言。

現在、世界経済を鑑みても世界中の人々にとって非常に苦しい時代です。そんな中で、音楽には人々を鼓舞する力があり、なおかつ困難を乗り越える勇気を与えてくれます。音楽というのは人生にとって非常に大切だと思います。日本の方々の人生にとってもそうだと思います。私も来日したり、CDもたくさんリリースして、そのような希望に貢献したいと思っています。そしてたくさんの皆様にコンサートに足を運んで頂きたいと思います。我々音楽家にとって、観客席がいっぱいになることはこの上ない喜びですから。


ovcl_00378.jpg好評発売中!
華麗に織り成す色彩とリズムの融合。
ズヴェーデンの完璧な構築性が導く精緻の極み!

ストラヴィンスキー:
「ペトルーシュカ」「プルチネルラ」管楽器のための交響曲 

ヤープ・ヴァン・ズヴェーデン(指揮)
オランダ放送フィルハーモニー管弦楽団(ペトルーシュカ、管楽器のための交響曲)
オランダ放送室内フィルハーモニー(プルチネルラ)

2008年第46回レコード・アカデミー賞管弦楽曲部門を受賞したズヴェーデンの「春の祭典、他」(OVCL-00312) に続く、待望のストラヴィンスキー集第2弾です。
鋭く明晰なズヴェーデンの統率力で完璧に構築された演奏。弦楽器と管楽器、抜群の機能で織り成すリズムと和声の精緻さ、繊細な音質が冴え渡ります。
また音像と演奏の構造を的確に捉えた透明感のある録音が、圧倒的な音の実在感を示しています。
完全なるバランスを保ちながらも華麗なる色彩で縁取りされた音、劇的な一体感と高揚感で導くズヴェーデンの逸演がマルチサラウンド盤で登場です。 

録音:2008年6月24-28日(ペトルーシュカ、管楽器のための交響曲)2008年8月26-29日(プルチネルラ)
ヒルヴェルサム、MCOスタジオにて収録
 [CD&SACD] OVCL-00378    *2ch+5ch Hybrid SACD
定価¥3,000- 税抜定価(¥2,857)
 


ズヴェーデン&オランダ放送フィル 
2008年第46回レコード・アカデミー賞管弦楽曲部門受賞!!
「春の祭典 他」 OVCL-00312 ¥3000(税込)