中野翔太「ガーシュウィン作品集」リリース!アーティスト・インタビュー

コンサート・ピアニストとして年間数多くのオーケストラとの公演を行い、実力派ピアニストとして活躍する中野翔太。その半面、クラシックの枠にとどまらず、ジャズピアニストの松永貴志氏との2台ピアノのコンサートや、最近では自作のアレンジによる演奏を度々披露し、幅広い活躍を見せています。今回満を持して6月20日にガーシュウィンのピアノ作品集をリリースすることとなりました。

内容は、「ラプソディ・イン・ブルー」、「パリのアメリカ人」(ピアノ・ソロ版)をはじめ、「3つの前奏曲」、18のソングブックより「I got rhythm」「Swanee」「スワンダフル」「That certain feeling」「Sweet and low down」のほか、パーシー・グレインジャー編曲による「The Man I Love」など貴重なレパートリーの演奏を聞かせます。

 特に、「パリのアメリカ人」では中野翔太によるオリジナル・カデンツァが演奏され、最終トラックに収録された「A Foggy Day」は、自身のアレンジの演奏で、今回のCDの中でも聴きどころです。
真摯で美しい音色で奏でられながらも、所々にみせる遊び心と、ガーシュウィンならではのエンターテインメント性がたっぷりと楽しめるCDです。
今回は、録音を終えたご本人に、お話を伺いました。

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【今回の録音のこと】 

Q:今回ガーシュウィンの録音をするにあたって研究したり、工夫したりしたことなどありますか?
 
中野:
ジャズならではのスウィングや、リズムの取り方などでしょうか。
いままでコツコツと積み上げてきたものもあるので、録音のために新たに習得しなければならないということはありませんでしたが、演奏する中で常に意識をしていました。
それから、今回“A Foggy Day”ではアレンジをしていますが、洗練された、優美なテイストにしたいと考えました。特に誰かの演奏を参考にしたということはありませんでしたが、エラ・フィッツジェラルドの歌う“A Foggy Day”は最高に綺麗で、あの優美な雰囲気を作りたいなと思っていました。
特にイントロの部分では十分に表現できたと思います。
 
Q:ジュリアードに在学中は、授業の一環としてジャズも勉強されたということですが、どのような内容のレッスンでしたか?
 
中野:
まずは、基本的なコードの抑えかたを教えてもらった上で、コード進行があまり複雑ではない曲から勉強しました。ベースとドラムを含めた伴奏のみ収録されたCDが付いた教本を使って、コード進行に合わせて即興を行ったりしました。
曲は、例えばハービー・ハンコックの“Maiden Voyage”とか、マイルス・デイビスの“So What”などを教材として使ったりして、学期末にはクラスの発表会でドラムやベースと一緒に演奏を披露したりしました。
新鮮な体験でした。
 
Q:ガーシュウィンの曲の魅力はどういったところだと思いますか?
 
中野:
ガーシュウィンの曲は、クラシック的な統一感の中に、宝箱を開けたように次から次へとジャズの言語が飛び出してくるので、どこをとっても本当に魅力的です。
 
Q:今回ガーシュウィンのCDを録音したことは中野さんの中ではチャレンジングなことだったかと思いますが、今後はどんなことにチャレンジしたいですか?
 
中野:
曲を作ってみたいと思っています。音楽家としての幅を広げつためにも、曲を作るという事が大切な事だと感じています。
 
【留学中のこと】
 
Q:ニューヨークに10年間住んでいらっしゃいましたが、その中で影響を受けた音楽や芸術はありますか?
 
中野:
現代音楽ですね。授業の中でも色々な曲を聴かされましたし、それまで全く興味がなかったのですが・・・。
それに、ニューヨーク・フィルの公演の中でも毎回必ず現代ものが初演されたりするのを聴いて、
積極的に現代音楽に取り組むという部分も、影響を受けました。
あとは、美術に関してはMOMAで観た現代アートなどにも影響を受けました。
 
Q:特に演奏してみたいと思う現代音楽の作曲家などはいますか?
 
中野:
コリリアーノはジュリアード音楽院にいたときに初めて聴いて衝撃をうけて、「いつか演奏したいな」とずっと思っていたのですが今年の6月22日の東京文化会館でのリサイタルでようやく実現できることになりました。
 
Q:ジュリアード音楽院にいたことは中野さんにとって素晴らしい体験でしたか。
 
中野:
そうですね。それはもう。かけがえのない素晴らしい体験です。
学生生活を通じて、出会いや経験などから、様々なインスピレーションを受けました。
もし僕が、ヨーロッパのほかの国にいっていたら、それはそれでまったく全然違う状況だったと思うので・・・
とにかく、ジュリアードにいてよかったと思います。
 
【プライベートのこと】
 
Q:趣味は?
 
中野:
F1ですね。実は、昨年、関西でのコンサートの本番の後に鈴鹿サーキットに行ってきたんです。
もう、ものすごい音とスピードでした。すごいとは聞いていましたけど、それでも驚きました。かっこよかったです!
 
Q:お父さまが素粒子物理学者ということで、中野さんも物理や数学、科学の分野には興味はありますか?
 
中野:
興味はあります。ディスカバリー・チャンネルとか、ナショナル・ジオグラフィック・チャンネルなどよく見ていますね。
 
Q:好きなジャズの演奏家は?
 
中野:
ハービー・ハンコック、エロル・ガーナー、ジャッキー・テラソン、ビル・エバンスなどです。
 
Q:
最後にファンの方々に一言ぜひお願いします。
 
中野:
今回、パリのアメリカ人の中では自作のカデンツァを、“A Foggy Day”ではアレンジをしたりと新しいことに取り組み、自分でも思い入れのある一枚になったと思います。
たくさんの方々に聴いていただきたいと思っています。

 

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